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製品を飛び越えて企業のファンへ。ヤッホーブルーイングの”熱狂”の具体的な作り方とは

MARKETING

投稿日:2018-02-25 更新日:

ヤッホーブルーイングの”熱狂”の具体的な作り方

前回のブログで、2/19(月)に渋谷のBOOK LAB TOKYOで行われた『熱狂顧客戦略』刊行記念イベントの前半部分をレポートしました。

今回はこちらのイベントの後半部分であるヤッホーブルーイングさんのお話を自分なりにかみくだきながらレポートしたいと思います。
ヤッホーブルーイングさんは『熱狂顧客戦略』をまさに実行されていて、業績も右肩上がりの企業ですので、具体例として是非チェックしていただきたいと思います。
お話ししてくださるのはヤッホーブルーイングさんと言えばてんちょ(社長)の次にこの方。ジュンジュンさんが話してくださいました。

 

 




 

 

企業ミッションに顧客までもが魅せられる

Nekkyo yoho01

まずは自己紹介と会社説明をしてくださいました。
その際に企業ミッションを教えていただいたのですが、これこそ熱狂顧客を生み出す源泉だなと感じました。

それは「ビールに味を。人生に幸せを。」というもの。

「画一的な味しかなかった日本のビール市場にバラエティを提供し、新たなビール文化を創出する、そして、ビールファンにささやかな幸せをお届けする”というところです。何か企画を考えるときは、全てこのミッションに通じているものなのかというところを指針に持っていて、その中で我々は企画を考えています。」

Poster beer 1300

このお言葉からも分かる通り、日本のビール市場はかつて、上記にあるビールスタイルマップのたくさんの種類の中のたったひとつでしかない「ピルスナー(色の薄いビール)」というジャンルの中で大手各社が商品を出していたそうです。(今でも主はそう)
ヤッホーブルーイングはそんな日本にもっとたくさんの種類の美味しいビールの「味」を届けたい!としている会社なんですね。
そしてその先にあるささやかな「幸せ」をお届けしたいと。

このミッションがあるからこそ、ヤッホーブルーイングの社員の方はひとつになれ、色んな味のビールを届けられているわけですが、これ、もうファンにも伝わっちゃっているんです。
イベントであったり、会報誌であったり、メルマガであったり、『よなよなエールの歌』っていうのがあるのですけどそこでも出てきています。

これめっちゃ好きなんで貼っておきますね!
飲む時、絶対くちずさんじゃう。
暗唱で歌えるレベル笑(ちなみにイベントでのこの時間は最高潮に楽しい)

 

そう、意識的に企業が顧客に対しても自分たちのミッションを伝えているんですよ。
これってすごくないですか?

もうファンと一緒に企業ごと共創しているんです。
ビール市場を一緒に作っていこうと、幸せを一緒に作っていこうと。

その結果、ファンはまるで社員さんなんじゃないかっていうくらいの動きをイベントでしていたり、SNS上で批判者に対してフォローをしてくれていたりします。
まさに究極のファン、熱狂的推奨者を生み出しているわけです。

つまり、この「ヤッホーブルーイングが語るストーリー」にファンが「賛同」して「応援」してくれているわけですね。

みなさんの企業ミッションはファンに伝えて伝わるものですか?賛同を得られ、応援してもらえるようなものですか?
イベント前半の記事で「熱狂顧客戦略」を突き詰めると「熱狂経営」を考えなくてはならなくなるとありましたが、まさにリンクしてくる部分です。

 

 

 

トレードオフ

ヤッホーブルーイングさんの基本的な経営戦略にマイケルポーターの「トレードオフ」があります。

競争上必要なトレードオフを伴う一連の活動を選び、一つの戦略的目標に向かって、活動間のフィット感を生み出すことである”というところで、トレードオフしなさいと。マーケットに対してAかBかの道があったら、Aを取る、そしたらBを絶対に捨てると。AとB両方欲しいよということはしないと。その究極の選択を繰り返し繰り返し続けていきなさいと。つまり差別化ですね。徹底的な差別化をやっていきなさいと。それを実直にやっている企業になります。」

と、イベントでは例として製品でのトレードオフについて解説してくださっていましたが、僕はヤッホーブルーイングさんが『熱狂顧客戦略』を行なううえで2つの大きなトレードオフをしていると思っています。

それが

  1. 「新規顧客」より「既存顧客」
  2. 「売上」より「顧客を喜ばせる」

です。

 

 

「新規顧客」より「既存顧客」

これはあとからも出てきますが、ヤッホーブルーイングさんは年間契約のお客様をとっても大事にされています。
そちらの方々とより深いコミュニケーション(ヤッホー的に言うと「密着プレー」)を取り、熱狂度を上げています。

かつて、CMなども行なったことがあるそうですが、今、ヤッホーのCM見ないですよね。

つまり、「新規顧客」より「既存顧客」をとることにトレードオフしています。

 

 

「売上」より「顧客を喜ばせる」

『熱狂顧客戦略』は実はこのトレードオフに集約されていたりするのですが、ヤッホーブルーイングさんは徹底的に実践しています。

社長であるてんちょのいつの日かのお話でも仰っていたのですが、社員が売上を追おうとしているのを見て「そんなこといいから」と言っちゃうそうです。

例えば、ヤッホーさんのメルマガもそうだと思うんです。
ヤッホーさんのメルマガは毎度社員さんのまったく関係ない話からスタートします。
通常、メルマガの最初って、一番伝えたいキャンペーンだとか新商品だとか書きたいじゃないですか。
ヤッホーさんはそれしないんですよね。
お客様とその場で話しているようなコミュニケーションをとって楽しませようとしている。

もうこの僕の「お客様」もナンセンスです。
あとからこれも出てきますが、ヤッホーさんは「顧客は友人」として接するという風にしています。
もう友だちなんですね。

友だちになって顧客に「信用」されれば「売上」は後からついてくる

「売上」より「顧客を喜ばせる」にトレードオフしているわけですね〜。

 

 




 

 

製品を飛び越えて企業のファンへ

Nekkyo yoho03

ジュンジュンさんは製品でのトレードオフの話の後、熱狂顧客の方々にインタビューして見えてきた顧客の熱狂までの全体像を図とともに説明してくれました。

「2つ軸があってですね、まず製品軸。よなよなエールが好きです!というところから、よなよなエールを知って理解して、トライアルをして、リピートして、そして推奨していくという行動から、次に企業軸に急に興味を持ってくれるんですね。Eコマースでもスタッフの顔を出していたりとか、対面のお客様とのコミュニケーションを心がけていて、企業軸に興味持ってくると、なんだろうこの会社は?なんだろうこのスタッフは?となっていき、ファンになって、熱狂的なお客様になって、また新しい推奨で、新しいお客様を連れて来てくださるというような循環が出てきているというところです。製品軸から企業軸に興味を持ってもらう架け橋として、Eコマースがあります。」

つまり、製品のファンになり、Eコマース(で年間契約)に入ってもらって企業のファンになると熱狂が生まれていくと。

これは新たなCRMのカタチでもあると僕は思っています。

Nekkyo yoho04

おそらく、上記のように年間契約のお客様を優遇する概念のところまではイベント前半の記事で述べた「企業CRMの失敗」の道筋と変わらないと思うのです。

購入量が多いお客様を優遇することでロイヤリティを上げていく。

ただ、その優遇の仕方が金銭的優遇だけじゃあない。
ヤッホーブルーイングさんがCRMで失敗してきた他の企業と違うのは、年間契約のお客様の感情を無視せず、徹底的に「喜ばせること」を実行してきたことです。

 

 

 

お客様の感情を無視しないヤッホーブルーイング年間契約のルール

ヤッホーブルーイングさんが年間契約の方々とコミュニケーションを取っていくにあたって、ルールが3つあります。
このルールこそ、お客様の感情を無視せずにCRMを失敗しなかった理由であると考えます。

  1. 「人気(ひとけ)」を出す
  2. 「顧客は友人」として接する
  3. 「学び・交流・共創」を通じてクラフトビールの醍醐味を楽しく伝える

 

 

「人気(ひとけ)」を出す

Nekkyo yoho12

ヤッホーブルーイングさんのサイトや会報誌などには必ず社員の顔出ています。
これをヤッホーブルーイングでは「人気(ひとけ)」と呼ぶそうです。

もちろん、リアルイベントでも社員が自ら顔を出します。
すごいのが、そのイベントスタッフのほとんどがヤッホーブルーイングの社員さんたちなのです!
もう愛しか感じない…
ジュンジュンさんも超宴というリアルイベントの司会などをされているのを会場で見たことがあります。

(この社員がイベントスタッフとして顧客と生で顧客の熱狂に触れるということ自体が社員の熱狂も生み出しているという側面もあるですね)

メールでさえも社員個人の日記みたいな文章がメールの冒頭に出てくるし…
嫌でも気になる笑

そして、メールで見ていたニックネームの人をイベントで見かけて思わず声をかける…
そういうことです笑

人気(ひとけ)があるとどうしても愛着が湧いてしまうのが人間。
ヤッホーブルーイングの社員が好き!という方は年間契約の方では多いと思います。

 

 

「顧客は友人」として接する

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「手描きの手紙をサプライズで送ったりしている」

「お誕生日にその人だけの手作りプレゼントを差し上げた」

これは嬉しい…

コトラーさんも『マーケティング4.0』でWow(予想外価値)は狙って作れると言ってましたけど、ジュンジュンさんの話を聞いてうなずけました。

コトラーさんが言っていた『Wow(予想外価値)の定義』的なものは

  1. 予期せぬ驚きであること
  2. 個人的なものであること
  3. 伝染力があること

だったけど、確かに全部満たしている…。

こういうことを考える部署は楽しいだろうなあ。
お客様が喜ぶ顔を想像してむふむふしちゃいそう。
しかもそのお客様のお顔、本当にヤッホーの人は分かりますからねイベントなどで会ってるから。

究極の1to1すぎる…
これがヤッホーブルーイングの密着プレー…
これがヤッホーブルーイング…!

 

 

 

「学び・交流・共創」を通じてクラフトビールの醍醐味を楽しく伝える

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学びと交流と共創を意識しながらPDCAのサイクルをぐるぐる回していって、お客様にどんどんLOVE度を上げていただく。」

次に、具体的な例もジュンジュンさんは話してくださいました。

学び:会報誌、醸造所見学ツアー、メルマガ等
交流:超宴、宴、醸造所見学ツアー等
共創:新製品共同開発等

どれも顧客の感情を高める、熱狂度を高めるものばかり…!
中でもリアルイベントの『超宴』には力を入れており、有効手段と捉えているとのこと。

 

 

さとなおさんの表現

※佐藤尚之『ファンベース』より

と、お客様の感情を無視しないヤッホーブルーイング年間契約のルールを3つ見てきましたが、『明日の広告』のさとなおさんは『ファンベース』において違う表現で熱狂度の上げ方を表現しています。

共通してあてはまってきて理解が深まりますね。

 

 

 




 

 

結果、売上や推奨はどうなっているか

太っ腹にジュンジュンさんはその結果、実際に熱狂度が高い人と低い人では売上や推奨はどうだったかについても丁寧にご教示くださいました。
神ですね…ここまで教えてくれてよいのか…

 

熱狂度が高い人のほうが「推奨意向」が高い人の量が多い

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これはヤッホーブルーイング「年間契約」のお客様の熱狂度(あなたにとって製品はどのような存在かの度合い)と推奨意向(あなたはどのくらい人におすすめしたいと思うかの度合い)をかけ合わせた表です。

一番右の列を見ていただきたいのですが、熱狂度が高ければ高いほど、推奨意向が高い人の量が多くなっています。

熱狂度が高い人のほうが「推奨意向」が高い人の量が多いことが見てとれます。

 

 

熱狂度が高い人の方が「売上」は高い

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そもそももうすでに「年間契約」の方々なので、ベースの年間売上は高いのですが、その中でもやはり熱狂度が高い顧客のほうが単価が高い傾向にあります。

一方、総金額はどうでしょうか。
下記に簡単に先ほどの人数分布と単価をかけ合わせた表を用意しました。

Nekkyo kanko hyo

熱狂度別の合計は一番右の列ですが、こちらも熱狂度が高ければ高いほど、総売上の期待値は高いことが見てとれます。

 

 

 

つまりは『熱狂度』を上げるべし

Nekkyo kanko03

これは、イベント前半の記事でも書きましたが、「熱狂度が低い状態で推奨を促してもうまくいかない」です。

つまり、「売上」も「推奨」も「熱狂度」をまず上げることが重要ということですね。

 

 




 

 

さいごに

熱が入って長くなってしまった…。
ですが、実際にヤッホーブルーイングさんが『熱狂顧客戦略』で具体的にどのような施策を行なっているかがなんとなくおわかりになれたかと思います。

製品を気に入ってくれてたくさん買ってくれている顧客に密着プレーで人と人とのコミュニケーションを通じて感動を生み、企業ごと好きになってもらう。
そうしたら顧客はより買ってくれて、おすすめもしてくれて新規顧客も連れてきてくれる。
そしてその熱狂的な顧客とコミュニケーションをとった社員が感動して社員の熱狂が生まれる。
その社員の熱狂が、また顧客の熱狂を生む。

はあーきれいな方程式や…
きれいすぎてこれでごはん3杯いける…
いやーこんなマーケティングができる会社って、すっげえ楽しいんだろうなあ。
すごいなあ。。

最後はうらやましがって終わりとなってしまいましたが、なんだかこんな会社を目指して世の中みんなで熱狂を生み出して、ステキな未来を作りたいですね〜

本にはヤッホーブルーイングだけじゃなく、他の会社の例も出ているので、是非チェックしてみてください。

 

 

次の記事は『”熱狂”がブランドの未来を照らす。刊行記念イベントで語られた『熱狂顧客戦略』をレポート』

 

 

 

参考図書

 

 

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