普段はマーケティングの仕事をしておりまして。
自分が考えたことで多くの人を幸せにできるチャンスがある「マーケティング」が大好きで。
いつかマーケティングの記事を書けたらなと思っていたのですが、今回初めて書いてみたいと思います。
題材は『熱狂顧客戦略』について。
この『熱狂顧客戦略』はトライバルメディアハウスという僕が愛してやまないマーケティング企業が提唱している戦略なのですが、昨日2/19(月)に『熱狂顧客戦略』という本の刊行記念イベントが渋谷のBOOK LAB TOKYOでありまして。
そう、まさにトライバルメディアハウスの今までの知見の集大成のような本が2/15(木)に発売され、そちらの刊行記念イベントに行ってきたので、内容を自分なりにかみくだきながらレポートしていきたいと思います。
『熱狂顧客戦略』の考え方は今の時流も踏まえながらもとても本質的で、目からうろこな内容ばかりですので、マーケターは要チェックです!
目次
心地よいブランドが求められる時代
今の時代は、「心地よいブランドが求められる時代である」と今回の『熱狂顧客戦略』の著者であるトライバルメディアハウスの高橋遼さんは冒頭に仰っていました。
コトラーのマーケティング1.0と呼ばれるような「モノを作れば売れる時代」はもちろん終わっており、「そのブランドによってどのような心地よさが得られるか」で顧客はブランドを選択する時代になったと。
そして、「その心地よさは個人によって感じ方が違う」と高橋さんは続けます。
例として高橋さんはご自分の世代で流行したSONYのウォークマンを事例にして話されていました。
- 勉強中に聞く人 ⇒ ウォークマンは「レッドブル」のような存在
- 通勤中に聞く人 ⇒ ウォークマンは「どこでもドア」のような存在
- プレゼン前に聞く人 ⇒ ウォークマンは「お守り」のような存在
- くつろぎタイムに聞く人 ⇒ ウォークマンは「アロマ」のような存在
このように、それぞれの個人の文脈によってブランドの存在の捉え方は違います。
これを「文脈価値」と言います。
それぞれの個人で感じる文脈価値が違うからこそ、統一メッセージをマス的アプローチするのでは限界があるということについても高橋さんは触れていました。
なるほど、これは『明日の広告』で有名なさとなおさんの『ファンベース』的考えで言うと、マスアプローチは万人に対して文脈価値を感じてもらうきっかけを作ることはできるけども、それぞれの文脈価値をもっと育てようとすると別のアプローチが必要ということとリンクしてきそうですね。
だから、それぞれの文脈価値を顧客と一緒に作っていく・育てていくような『熱狂顧客戦略』が必要であると僕は解釈しました。
Instagramのハッシュタグは文脈価値を表す
そのブランドの文脈価値を知る上で有効な方法の一つとして「Instagramのハッシュタグ」を高橋さんは挙げられていました。
Instagramの写真はどういう文脈でその写真を撮っているか、どういう文脈でそのブランドを体験しているかをタグ付けをすることで表しているものが多いそうです。
例としてトミカの「#トミカ収納」、ヤマハの「#ヤマハが美しい」などを挙げられていました。
企業の担当者にとっては、「トミカってきれいに収納する面白みがあるんだ」とか、「うちって他社より美しいと思われてるんだ」とか自分たちだけでは気づけない文脈価値の発見があるのでしょうね。
そういったものを活かすことこそが顧客と一緒に文脈価値を作っていく・育てていく『熱狂顧客戦略』なのだなと思いました。
囲い込みの時代は終わった
高橋さんはよく企業さんとお仕事をしていると「囲い込み」というワードを聞くそうです。
おトクなキャンペーンなどでブランドの柵に顧客を囲い込もうとするあれですね。
「既に顧客はSNSで会話したり企業が知らないところで行動をしているので、いくら企業が囲い込もうとしても囲い込めない世界になっている」
と高橋さんは仰ります。
そもそも個人によって文脈価値が違う時代ですので、前述と同じで、統一メッセージのマスアプローチでは響きづらい時代になってきているということですね。
「囲い込むのではなく、ブランドに熱狂している人たちと一緒に未来を築くことが重要」と高橋さんは仰っていました。
「購入=熱狂=推奨意向」ではない
では、そのブランドに熱狂している人たちをどう見分けるかでよく企業が捉え間違いがちなのが「購入量が多い=愛がある=おすすめしてくれる」と捉えてしまうこととのこと。
高橋さんはこれが企業がCRMを取り入れて失敗をしてきた原因だと続けます。
たくさん購入しているからといって、そのブランドに愛があるか言ったら分からないですし、おすすめするかと言ったらしない。
そんなブランドがみなさんにもあるのではないでしょうか。
ではどうやって熱狂の度合いを測るか
※トライバルメディアハウスHPより
これはトライバルメディアハウス独自で編み出した調査法なのですが、「あなたにとってこのブランドはどのような存在ですか」に5段階で回答してもらうといったものです。
トライバルメディアハウスはこの二年間で様々なブランドの熱狂調査を行なっており、熱狂度が上がることで購入量と推奨経験率も向上する傾向を見出しています。
つまり、顧客の「熱狂度」を上げる活動をすれば、その熱狂顧客がたくさん買ってくれ、さらに人にもおすすめしてくれて新規を連れてきてくれるという好循環が生まれるということですね。
良いことばかりですね…!
ちなみに、高橋さんいわく、どんなブランドにも5%は熱狂顧客が存在するそうです。
高橋さんは企業と熱狂顧客調査をしている中で、「自分のブランドのことを熱く語ってくれる熱狂顧客の反応を見て感動して泣いてしまったブランド担当さんもいらっしゃった」というエピソードも話されていました。
「うちのブランドにそんな熱狂顧客なんていないよ…」と悲観するのはまだ早いかもしれません。
推奨は熱狂がないと起こらない
※トライバルメディアハウスHPより
こちらも前述と関係していますが、「熱狂度が低い状態で推奨を促してもうまくいかない」とのこと。
推奨を促すにはまず「熱狂度」を上げることが大事なんですね。
推奨やNPSについては下記を読むとより理解が深まります。
熱狂を作るのは社員から
従来はトップダウンで決められた統一メッセージのマスアプローチでも売れる時代でしたが、前述の通り、個人によって感じる文脈価値は違うので、社員や現場スタッフと顧客のコミュニケーションが大切だと高橋さんは仰ります。
「社員や現場スタッフが顧客とのコミュニケーションで得られるそれぞれの文脈価値を経営にフィードバックして活用していくことがこれからの組織のあり方である」とのこと。
自分の意見が企業に取り入れられたら、嬉しくて応援したくなりますもんね。
共創ってやつですね。
熱狂マーケティングから熱狂経営へ
「社員や現場スタッフが顧客とコミュニケーションをとる時に、自分のブランドをどう説明できるか、どう伝えられるかが文脈価値を作るうえでは重要」とのこと。
「だから、熱狂マーケティングを突き詰めると経営戦略においても熱狂の考えが必要であり、社員や現場スタッフを熱狂させることによってブランドを語れるようにすることが重要である」と高橋さんは最後に語られていました。
先ほどの泣いてしまったブランド担当の方じゃないですが、社員が熱狂して顧客に熱狂を作り、その顧客の熱狂を見てまた社員の熱狂が生まれるという…
好循環だらけで泣けてくる…
前半部分はこんな感じ
今回、イベントの前半で語られていた部分は上記でした。
この後の後半でヤッホーブルーイングのじゅんじゅんさんのお話では、ヤッホーブルーイングがどのように『熱狂顧客戦略』を行なっているかを具体例も含めてお話しいただきました。
ヤッホーブルーイングさんは僕もすごくファンで、その『熱狂顧客戦略』も日々勉強させてもらっているのですが、戦略というよりは、純粋に「何をしたらヤッホーファンに喜んでもらえるか」を考え続けているんですよね。
売上は後からついてくると。
もうステキすぎてベストステキアシスト賞があれば優勝です…
完敗や…こんな企業になりたい…
そんなヤッホーブルーイングさんのお話はまた後日まとめたいと思います。
結構いろいろセミナー出ていますが、初めて聞いたお話もあってもう目からうろこが何枚とれたか分からないレベル。
さいごに
僕は数年前からこのトライバルメディアハウスさんの『熱狂顧客戦略』にどハマりしておりまして。
この考えをもとにビービットさんが提唱している『顧客ロイヤルティ戦略』、さとなおさんが提唱している『ファンベース』、世界のコトラーが提唱している『マーケティング4.0』などの考えをうまく取り入れて自分の会社で活かせないかなと今も日々自分の会社で奮闘している最中です。
今後はそういったマーケティングの学びもこのブログには書いていき、マーケティングに携わる皆様にちょっとでもステキなアシストをできたらと思います。
『熱狂顧客戦略』も上記はまだまだほんの一部。
僕自身もこのブログでは『熱狂顧客戦略』について学んだことをもっとまとめていこうと思いますが、本誌には具体的にどういったことをしていくべきなのかまで実例も含め記載されているので、是非お手にとってお確かめいただければと思います。
これからのマーケティングの道しるべがそこにはあります。
みなさんで熱狂を生み出して、ステキな未来を作りたいですね〜
次の記事は『製品を飛び越えて企業のファンへ。ヤッホーブルーイングの”熱狂”の具体的な作り方とは』
参考図書