よくビジネスシーンでは「それは本質的か」という問いが出てきます。
「その解決手段で本当に良いのか?」という問いかけの時によく使われる気がします。
例えば、ある商品の売上が良くない時。
知られていないからだと思って広告を増やしたけど売上が伸びない。
それはもしかしたらそもそも商品が小売の店頭に置いてもらえていないという営業自体の弱さが原因で、その改善が一番にやらなくてはならないことだったからかもしれません。
本質的に考えられていなかった結果と言えるかもしれません。
では、その「本質的に考える」とはいったいなんなのでしょうか。
そして、それは具体的にどうしたらできるのでしょうか。
色々な方の考え方や日々の業務を通して見えてきたことを今回は整理してみたのでご紹介できればと思います。
「本質的に考える」ということの構造を知ることで、「戦略」とは何かも見えてきます。
そしてなにより、ふんわり分かっていることと、構造を理解していることとではソリューションの質に大きな差が出てきます。
タイムマシンがあったら新卒の頃の僕にここらへんをぶったたきこみたい。
目次
本質的に考えるとは何か
「本質的に考える」とは何か。
それは「目的に対して一番効く手段を選択すること」だと僕は考えます。
では、目的に対して一番効く手段を選択するには具体的にどうすればいいか。
そのためには「目的(なりたい姿)」と最終的な「手段」の間にある「課題(なすべきこと)」の選定が肝です。
目的と手段の構造
これは例ですが、目的と手段の構造はこのような階層になっています。
全ては目的と手段の関係性で成り立っています。
実際はもっと無数に階層がありますし、枝分かれもします。
「本質的に考える」の肝はどの階層を「目的(なりたい姿)」と「課題(なすべきこと)」と置き、最終的な良い「手段」を考えるかです。
これ決めることを一般的には「戦略」と言ったりもします。
上位階層で「目的(なりたい姿)」「課題(なすべきこと)」を置いた場合
例えば、上記のように「目的(なりたい姿)」を「売上UP」、「課題(なすべきこと)」を「新規顧客獲得」と置いた場合、手段(アイデア)は「ブランドイメージUP」や「新商品開発」や「店頭取扱強化」など、プロモーションからプロダクト、チャネルまで幅広い手段が考えられます。
テーマが広すぎて良い手段(アイデア)は浮かびづらいかもしれません。
ちょうどいい階層で「目的(なりたい姿)」「課題(なすべきこと)」を置いた場合
では、一つ階層を下げて「目的(なりたい姿)」と「課題(なすべきこと)」を置いたらどうでしょうか。
「課題(なすべきこと)」を「ブランドイメージUP」と置いたとします。
そうすると、より具体的に手段が考えられるようにならないでしょうか。(ちょっと分かりにくい例えだったかもしれません、すみません。。肝は下記です)
「課題(なすべきこと)」が具体的だと手段(アイデア)が考えやすいのです。
最初から「目的(なりたい姿)」が上位階層で設定されてしまっている場合
最初から「目的(なりたい姿)」が上位階層で設定されてしまっている場合は、「課題(なすべきこと)」として階層をまとめたりすると良いです。
例えば、「目的(なりたい姿)」が「売上UP」と設定されてしまっている場合、「課題(なすべきこと)」を「新規顧客獲得するためのブランドイメージUP」として階層をまとめてみるなどです。
よく聞く「手段が目的にならないように」という言葉
よく「手段が目的にならないように気をつけよう」なんて言葉を聞くのですが、手段が目的になるのって当たり前なんですよね。
その手段が達成されることが最終的な大目的につながるわけで。
もしそれに注力して最終的な大目的に達せないのであれば、それは課題(なすべきこと)の選定、もしくは手段の優先順位を間違えています。
課題(なすべきこと)の見つけ方
では、課題(なすべきこと)はどう見つけるのか。
それはまず現状の把握から始まります。
現状、自分たちの悪い結果や良い結果を生み出している原因はどうなっているかを分析します。
悪い原因の方が勝っている場合は「悪い結果」、良い原因の方が勝っている場合は「良い結果」となります。
そしてその悪い原因と良い原因に対してアプローチすることこそが「課題(なすべきこと」です。
なので、課題には下記の2つの種類があります。
- 悪い原因にアプローチする課題
- 良い原因にアプローチする課題
課題って悪い方向を改善という風に見られがちですが、良い方向に伸ばすっていう課題(なすべきこと)もあるんです。
当たり前っちゃ当たり前なんですが、結構見落としがちだったりします。
悪い結果が出ている現状にも、思いのほか良い原因があったりする時もあります。
なので、自分たちの現状の悪い原因だけではなく、良い原因もしっかり把握し、どちらへのアプローチを優先するのか、あるいはどちらもやるのか、そしてそのうちどれをやるのかを最適に決めることこそ、「本質的に考える」ということです。
問題点の裏返しは課題(なすべきこと)ではない
よく問題点の裏返しを「なすべきこと」という意味の「課題」と表現してしまうことがありますが、それは間違いです。昔の僕は間違いです。
問題点の裏返しは「目的(なりたい姿)」です。
例えば、「新規顧客が少ない」という問題点の裏返しは「新規顧客の獲得」となり、それは「目的(なりたい姿)」となります。
「問題点」とは前述でいう、「悪い原因」な訳で、これの裏返しは「悪い原因の改善」です。
その「悪い原因の改善」のためにすることこそが「課題(なすべきこと)」です。
「課題」という言葉は色んな捉え方ができて、ちゃんとどの意味で使用しているかを明確にしたり、その人がどの意味で使用しているかを見極めないと認識のズレが起こります。
そちらについては下記にまとめましたので、あわせてご覧になっていただくと理解が深まると思います。
まとめ
- 「本質的に考える」とは「目的に対して一番効く手段を選択すること」
- そのために「目的(なりたい姿)」と実際の「手段」の間にある「課題(なすべきこと)」を最適に選定すること(=「戦略」)
- 「課題(なすべきこと)」は「悪い原因にアプローチする課題」と「良い原因にアプローチする課題」の2種類がある
さいごに
「本質的に考える」ということ。「戦略」という言葉。
それ自体はふわっとしていますが、構造自体は深いもので、正確な理解がないと危ういものになっていまします。
それが優秀なプランナーとそうでないプランナーの差なのかもしれません。
僕も理解はしているものの、考えている内にごちゃついて整理できなくなることがあります。
やはり実際は上記のように単純でないので、考えているとこんがらがってきちゃうんです。
僕も含めたそのような時に、このまとめが少しでもお役に立てたら幸いです。
「課題(なすべきこと)」を最適に選択し、それに対してステキな手段を考えられるように僕も精進しようと思います。
参考文献
書いてきたことの大部分の幹になっている文献は下記となります。
バイブルですね。
これは本当にシンプルに構造を理解できるのでおすすめです。
この記事はnoteにも掲載しています!
この記事はnoteにも掲載しております。
そちらではコメントなどもできるので良かったら!
次の記事は『仕事で「課題」という言葉を使うのは大至急やめようと思った話』
合わせて読むと、「課題」という言葉をより適切に企画書にも使えるようになると思います。